温室効果ガスの排出削減が世界的な命題となる中、注目を集めているのが“バイオ炭”だ。間伐材や稲わらなどのバイオマスを高温で燃焼・炭化する過程で生じる炭は、これまで「厄介な産廃」として扱われてきた。

この副産物を逆転の発想でビジネスに活用しているのが、Green Carbon株式会社だ。

燃やしたあとが本番!“バイオ炭”を活かすという選択肢

通常、木材や農業残渣を燃焼させた後に出る炭は、廃棄処理されるのが一般的だ。だがこの「バイオ炭」は、農地に還元すれば土壌改良材としての効果を発揮する。また、炭素を土中に固定化する“カーボンシンク”としても機能する点が見逃せない。

Green Carbonは、この“炭の力”にいち早く着目。2024年には農林水産省の支援を受け、バイオ炭の農地施用に関する実証プロジェクトを北海道などで展開。通常の有機肥料と比較しても遜色ない成果をあげ、農業分野からの脱炭素アプローチとして大きな注目を集めている。

土壌と水を整える、天然のサポーター

バイオマス由来の「バイオ炭」は、アルカリ性の特性により酸性化した土壌を中和し、カルシウムやカリウムなどのミネラル成分も豊富。さらには、保水性や通気性の向上、水質の浄化作用もあり、農作物の生育を総合的にサポートする“天然の土壌改良材”として関心が高まっている。

クレジット化がもたらす“地域循環”の可能性

Green Carbonの最大の強みは、バイオ炭の施用によって生まれるCO₂削減効果を「J-クレジット制度」などの公的制度を活用して可視化・価値化する仕組みを構築している点だ。農家や事業者は、バイオ炭を農地に散布することでカーボンクレジットを獲得し、それを企業や自治体へと販売することが可能となる。カーボン価値が地方の新たな収益源となり、“森から田畑へ、そして都市部の企業へ”と循環していくのだ。

炭が拓く、未来の環境戦略

バイオマス発電の副産物だった“炭”が、いまや地域再生と気候変動対策の鍵を握る。化石燃料由来の肥料依存を見直し、国内資源を活用した循環型農業を広げることは、日本が描くべき未来のひとつだ。

「小さな炭が、大きな変化をもたらす時代」

Green Carbonが描くのは、そんなローカル・ベースの脱炭素経済なのだ。

グリーンカーボン株式会社

森林を軸にしたカーボンクレジット創出を行うスタートアップ。国内の森林由来のJ-クレジットを活用し、企業の脱炭素経営を支援するとともに、地方の森林保全・林業活性化に貢献。

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