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ハードウェア×ムーブメントがスタートアップエコシステム変革をもたらす——LenovoとIVSが起こす化学反応

2025.06.13 2025.06.13 08:55 ユニコーンアイ
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岡田友和氏(左)と中田竜太郎氏(右)

●この記事のポイント
・スタートアップ企業の成長を支えるべく設計された、サブスクリプション型のハードウェア支援サービス「Lenovo for start-ups」。Lenovoは、このサービスを掲げて「IVS2025」に出展する。
・なぜハードウェア企業のLenovoがスタートアップ支援に取り組むのか、IVSとどのようなシナジーを生むと期待できるのか。

 スタートアップ企業にとって、限られたリソースのなかで「本業に集中する環境」をどう整えるかは、大きなハードルです。
 とくに、ハードウェアに関する環境整備は創業期における負担になるにもかかわらず、多くのスタートアップが最適なソリューションを見つけられていません。

 こうしたハードウェアがもたらす“成長の足かせ”を解決しようとするのが、Lenovoが展開する 「Lenovo for start-ups」。スタートアップ企業の成長を支えるべく設計された、サブスクリプション型のハードウェア支援サービスです。
 Lenovoはこのサービスを掲げ、2025年7月2日から開催される国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2025」に出展。

 なぜハードウェア企業のLenovoがスタートアップ支援に取り組むのか? LenovoとIVSはスタートアップに対して、どのようなシナジーを生み出そうとしているのか?
 レノボ・ジャパンでLenovo for start-upsのプロジェクトを牽引する中田 竜太郎氏、IVSのCOOである岡田 友和氏、2人のキーパーソンに語っていただきました。

目次

普通はやりたがらない!?Lenovoがハードウェアで支援する理由

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中田:Lenovo for start-upsは、スタートアップ企業に対して、創業初期に必要なアクションや情報をアドバイスする「ナレッジインジェクション」、その企業に必要なデバイスを吟味して特別価格で提供する「スペシャルオファー」、法人として必要なセットアップやセキュリティ設定を1台から対応する「セットアップサービス」の3つからなるサブスクリプションサービスです。

 スタートアップ企業には、ITコーポレート、いわゆる“情報システム”と呼ばれる部門が備わっていないことがほとんどです。社長やメンバーがハードウェアの選定やセキュリティ設定などに時間を割かれ、本業に対して十分なリソース注入ができなくなってしまうのです。これは、スタートアップ企業が失敗してしまう原因になります。
 情報通信機器の製造販売を専門に行うLenovoであれば、この課題に対してハードウェアの観点から貢献できるのではないかと考えたことがこのプロジェクトがスタートしたきっかけです。

岡田:私は、Lenovo for start-upsは、スタートアップにおけるキャッシュフローの観点からも優れたサービスだと考えています。
 PCを1台購入するのに20万円程度すると仮定して、メンバーが5人いれば100万円です。これをスタートアップ企業が揃えるのは難しい場合があります。その課題に対しても「月額」でサポートするというところが、非常に芯を捉えていると感じますね。

中田:個人のPCを業務に使用しているケースも多いですが、そうなると情報の取り扱いなど、セキュリティ面での不安が大きくなります。

——しかし、それだけスタートアップ企業が抱える課題に食い込んだサービスであれば、ほかにも同じようなハードウェア支援を行っている企業はありそうですが……。

中田:スタートアップ向け、と銘打っているものはあまり耳にしませんね。
 これは、ハードウェアを月額料金で提供するサブスクリプションが、実質的に「金融サービス」に近い仕組みであるためです。

岡田:金融サービスを受ける際は、与信が必要になります。現状のキャッシュフローやファクトの部分だけに着目すると、スタートアップ企業の与信はそう高くありません。
 ハードウェアのサブスクリプション事業は、多くの企業にとって「推進しづらい事業」なのでしょうね。

中田:そうですね。とくにディープテックの分野は、なかなか売り上げを創出しづらく、初期には赤字ということが少なくありません。売り上げがない、または赤字の企業は基本的には金融サービスを受けられないため、資金がないにもかかわらずPCなどのデバイスを購入しなければいけないという事態に陥ってしまいます。
 このケースを回避してキャッシュアウトを抑えられるのは、Lenovo for start-upsの大きなメリットの1つです。

岡田:ハードウェア分野で広く知られるLenovoが、「リスクを取ってスタートアップを支援する」ことには、大きな意義があると感じますね。

中田:ディープテックなどのスタートアップが、本業に注力できない、適切なサービスが受けられないために消えていくことは、日本における新産業誕生の可能性を欠いてしまうことになります。
 Lenovoはむしろ、それをリスクと捉えている、といってもよいかもしれません。

Lenovo for start-upsとIVSの高い親和性

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——Lenovoは昨年に引き続き、Lenovo for start-upsとしてIVS2025への出展を決めていますね。この出展を決めた理由を教えてください。

中田:理由はおもに2つあります。
 1つはLenovo for start-upsの周知、もう1つはスタートアップ起業の方々との関係づくりです。
 根底には、Lenovo for start-upsを活用することで本業に投下するリソースを最大化し、成長するスタートアップ企業が増える、という流れをつくれればという思いがあります。

岡田:実際、IVSに参加するスタートアップ企業の経営者のなかには、ハードウェアの調達やそれにともなうセキュリティ設定に課題を抱えている方も多くいます。とくに、1年間で100〜200名の採用を行うなど、急激な成長フェーズにある企業が多いですね。

中田:セキュリティへの対策は、創業期だけでなく成長期にも課題になりがちです。取引が大きくなればなるほど、企業の情報管理体制を見られるようになりますし、セキュリティ周りの脆弱さはIPOの観点でも不利に働いてしまいます。

岡田:対策が必要なことがわかっていても、どこにどうやってコストをかけたらよいのか、ハードウェアに対して適切な投資とはどのようなものか分からないことも多いです。
 そういった方々に向けて、「こんなサービスがある」「サブスクリプションという選択肢がある」というところをアピールできるという点で、Lenovo for start-upsとIVSの親和性は非常に高いと考えています。

大局的に見た日本のスタートアップの課題とは

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——LenovoとIVSは、ハードウェアとカンファレンスというそれぞれのアプローチでスタートアップを支援していますが、「日本のスタートアップ」という全体で捉えた場合、どのような課題があると感じていますか?

岡田:日本はよくも悪くも、「国内で完結するマーケットがある」状況です。日本におけるスタートアップ企業数自体は増加しているものの、ユニコーン、デカコーンといわれるスタートアップ企業が登場しづらく、事業が大きくスケールアップしない要因になっていると感じます。

 IVSを運営するHeadline Asiaは、東京のほか、台北にもヘッドオフィスを設けているのですが、現地の様子を見て事業拡大に対する文化の違いを感じます。
 台湾などの場合、そもそも国外に出ていかないと企業規模の拡大が見込めません。国内だけでは“規模の天井”が見えてしまっているため、彼らは、最初から海外展開を見据えて事業を計画するのです。

中田:日本は比較的、IPOへのハードルが低いことも、ユニコーン、デカコーン企業の登場が少ないことの要因になっているかもしれませんね。

岡田:スタートアップエコシステム自体がまだ成熟しきっていないという部分も、原因の1つにあると思っています。とくに、成長段階のグロースステージにおける支援や投資が圧倒的に足りないと感じます。

中田:あくまでアメリカとの比較になりますが、日本は、投資する主体となる企業が自社の新規事業へのシナジーを目的とする戦略投資が中心で、投資先の企業が大きく成長することによる金融的なリターンを目的としていない場合が多いため、ある程度のところで投資をしなくなるケースがあります。
 これが、日本においてグロースステージに至ったスタートアップ企業への資金流入が、非常に少ないことの原因です。

 メンターの性質の違いも影響しているかもしれません。
 アメリカだと「アクセラレーター」と呼ばれる、スタートアップのプロフェッショナルが企業に常駐して、ITコーポレートをはじめ、スタートアップ企業の成長に必要な支援を次々と行っていきます。
 一方、日本は大企業の上層部がメンターにつくケースが多いです。この場合、企業価値を何倍にするか? という観点ではなく、黒字化やIPOに照準を合わせた支援が中心になります。
 これが日本の倒産率が低く、連続起業のテンポ感がよい理由でもあり、グローバル展開でのボトルネックにもなっている部分であると感じますね。

LenovoとIVS、協創がスタートアップにシナジーをもたらす

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——スタートアップの課題に対して、LenovoとIVSが発揮できるバリューを教えてください。

中田:日本のスタートアップ企業には、アメリカのアクセラレーターが担っているポジションがおらず、適切なアクションができていない場合があります。その1つが、ハードウェアやセキュリティに関する対策やコスト投資です。
 その部分をLenovoがLenovo for start-upsを通じてサポートすることで、事業における正しい資金運用やグローバルスタンダードの装備に時間を使うことができます。
 単に、スタートアップにおける情報管理やキャッシュフローの観点からだけでなく、事業を拡大させていく際の一助になると考えています。

岡田:IVSのバリューは、「自分自身の立ち位置を知り、よい意味での危機感を得られる場」を提供できることでしょうか。
 IVSは現在、1万人規模のカンファレンスに成長しています。「起業ってなんとなくかっこいい」「お金持ちになりたい」という方もいれば、世界でビジネスを展開する方もいる、という多様性がIVSの特徴です。
 さまざまなフェーズの方々との接点が生まれることで、自分自身が今どの立ち位置なのか? が明確になり、次のステップに向かう“よい圧力”がかかります。

——最後に、LenovoとIVSが今回のコラボレーションを通して実現していきたいことを教えてください。

岡田:今後は日本の大企業にとって、成長戦略の観点からもオープンイノベーションへの投資は避けて通れません。IVSは大企業も含めて、今後ますます多くの方々が乗り合ってくれるカンファレンスに成長していければと考えています。
 その際、Lenovoのような業界内でも大手のプレーヤーに参画していただけることは、スタートアップエコシステムに大企業を融合させる点において非常に意義のあることです。いわゆる“スタートアップの内輪ノリ感”がなくなり、大企業や投資家の方々に対しての門戸が広がりますよね。

中田:私も、IVSに参画することでしか得られない価値があると感じています。それは多様なステークホルダーの方々と直接関われること、それによってまさに我々の支援を必要としているスタートアップ企業に貢献できる機会が得られることです。
 IVSを通じて、Lenovo for start-upsが日本におけるスタートアップエコシステムの一端を担う存在として認知され、機能していければと考えています。

 Lenovo for start-upsはIVSという舞台を通じて、日本のスタートアップエコシステムの根幹を支える存在を目指しています。
 ハードウェアという実直な切り口で“足元”からスタートアップ企業を支えるLenovoと、スタートアップの進化をリアルタイムで反映するIVS。両者が日本のスタートアップ企業やユニコーン企業の創出を牽引していく未来に、期待がふくらみます。

※本稿はPR記事です。

Unicorn Journal編集部

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